ロンサム・カーボーイ。

実家近くの
自動車用品店でアルバイト中、
店に流れていたFMラジオから
カーステレオのCMが流れていた。

「パイオニア・ロンサムカーボーイ」

CMのバックに流れる
気だるいライクーダーのギターと共に
かっこいいナレーションが好きだった。
イメージビジュアルに使われていた
赤茶けた荒野の中にまっすぐ伸びるハイウェイや
雨に濡れたロールスロイスのエンブレムの写真が
かっこよくて、雑誌で見つけるたびに
スクラップした。

撮影していたのは
目羅勝さん。

業界の端っこにいた僕にとって
憧れのスターだった。

十数年が経って
デザインナーとカメラマンという形で
初めてご一緒できた時に
興奮しながら
ロンサムカーボーイの話をした。


不思議な縁で
たまたま通っていたとあるBarが
目羅さんの行きつけだった事を知り
よくお酒のお供をさせていただいた。

巨匠なのに、全然気取らず
永遠のカメラ小僧みたいな人だった。
グラスを傾けながらも
小さなライカを取り出して
シャッターを押す。

「いつもカメラ持ち歩いてるんですね」と聞いたら、
「持ってないと、撮りたい時に撮れないもん」と、
当たり前のように答える目羅さんを見て
僕も絵の道具を持ち歩くようになった。

僕の「毎日のスケッチ」というスタイルは
間違いなく
目羅さんが、97年4月1日から
99年3月31日までの三年間
一日一枚の写真を残した「A Day in the Life」の
焼き直しだった。


その後、銀座で個展をやるたびに
毎年足を運んでくれて
酒を飲んだ。


昨年、体調を崩して入院したとお聞きして
電話をしたのが、最後の会話になってしまった。


また飲みたかったよ、目羅さん。


たくさんいただいた
万年筆のお手紙は
大切にとっておきます。


広尾で個展を開いた時に
目羅さんに寄せてもらった言葉は
僕の宝物です。


・・・・・・・・・・


写真家 ・ 目羅 勝

 亀山和明の「七里ガ浜・9 Library〜ライブラリー〜」にようこそ!
 一日一枚の絵を残す。これは見る人にとって、どうでもいい事であり、
もしかすると苦痛かも知れない。それでも見て欲しい。
描がかれていない絵の部分に、見ているあなたにしか見えない
「何か」を発見出来るかも知れないから...。

 1998年8月6日に彼のデザイン事務所 G-1(新富町) に写真の上がりを届けに行った時、
初めて亀チャンに会った。サッポロビール、所ジョージ「私はずーっと黒ラベル」の広告写真。
ニコニコしているが、「飲み込みが早く、的確な仕事をするデザイナーだなぁ〜。」と驚く。
次は1999年12月14日に某デザイン事務所の忘年会。
ニコニコしながら「あの時はどうも....。」と言われる。近くのバーに行く。
「記憶力のいい人だ。」と改める。
その次ぎは2000年3月14日に僕の事務所に打ち合わせに来た。
「藤岡弘、氏を撮って欲しい。」と言われる。
名刺はトータスルーム(原宿)という名に変わっていて、これまた全く無駄のなく、
的確に内容を僕に伝えた、「なんと頭の回転の早いアートディレクターだ。」と
少し恐ろしさ感じる。気が合ったのだろう〜、それからはず〜と会っている。
シリーズの仕事をし、酒を飲み、花火を見た。

 2002年6月、「事務所をたたみ、湘南に住処を変え、画家になる。」とさらりと言われる。
「え、!」って僕は絶句する。「迷ってないなぁ〜、強い意志だなぁ〜。」と感じる。
「食えるの?」とか、「スポンサーは居るの?」など、月並みの事は一言も言える隙がなかった。

 僕は97年4月1日から99年3月31日までの三年間一日一枚の写真を残していた。
「A Day in the Life」という写真群。
そう、その真只中、亀チャンと会っていたのだ。
3年間と2ケ月続いた最後の写真は2000年6月6日の父親のデスマスク。
次に日一度もシャッターを押せなくシリーズは終った。
それ以降プリントを残すが、途切れた緊張感はもどらない。虚無感に陥る日々。
それから4年後、亀チャンは一日一枚の絵を残し始めた。僕は誰の為ではなく、生きている証拠を残したかっただけ。亀チャンの場合は解らない。

 亀チャンはこの展覧会で、この一日一枚の絵を2007年1月3日で終えたと言う。
何故か同じ三年間。理由は聞いていない。今度は、ゆっくり聞く事にする。
酒を飲みながら、一晩では終らないであろう....。
けして線ではない、点と点で繋いだ三年間。亀チャンは描き続けた。
ここに生きざまが並んでいる。体調が悪い時でも描き続けた。
一枚一枚に独自の息を吹き込んだ。誰にも解らない、何かを感じながら...。
では見る我々は何を感じたらいいのか?温度?何の?風?何処からの?
光り?強いの?弱いの?匂い?どんな?
 何でもいいのです。探索するのはやめましょ。率直に見て欲しい。この絵群を見て欲しい。
出来ればあなたは何かを発見して「今日」という日を覚えていて欲しい。ただそれだけ。

亀山和明ワールドにようこそ!一日一枚の絵の次に何を見せてくれるのだろう。
亀山和明ワールドにヨウコソ!ニコニコしている侍がここに居ます。


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by tortoiseroom | 2016-01-13 22:41 | 絵描きの言葉

画家・亀山和明・鎌倉七里ガ浜を描いています。


by tortoiseroom
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